Japan IT Week 2025:AIブームと日本のITが垣間見えた展示会レポート

Japan IT Week

先日、幕張メッセで開催された「Japan IT Week」に行ってきました。毎回訪問して感じることではありますが、今回も“AI”の存在感がさらに大きくなっている印象を受けました。
数年前からすでにAI関連のソリューションは多数出展されていましたが、ChatGPTの登場による注目度アップもあってか、“AI活用”が一種のスタンダードになりつつあるように感じます。とはいえ、まだ試験的に「ChatGPTのAPIを導入してみました」という段階にとどまるブースも見られ、技術的な新規性よりは、まずはAIを取り入れること自体が取り組みの第一歩になっている印象でした。
いずれにしてもAIが大きなトレンドであることは間違いなく、今回はそんなJapan IT Weekでの気づきや、私たちのブースの様子をまとめてお伝えします。


AI化の流れが加速するブース構成

展示会場をひととおり回ってみると、「AI」をキーワードに掲げているブースの割合が、以前にも増して高まっていました。AIチャットボットや画像解析、RPAなどのソリューションが多彩に出揃い、関連セミナーも連日盛況でした。来場者に話を伺うと、「とにかくAI関連の出展を中心に見て回りたい」という方も増えているようで、確かにAIが大きな集客要因になっていることが実感できます。

一方で、ブース担当の方に詳細を尋ねると、ChatGPTなどのAPIを比較的簡単に組み込んだだけの既存サービスも多く、ビジネス面での大幅な変革や独自の技術開発というよりは、まずはAI機能を「取り入れました」というステップの段階という印象も受けました。もちろんこれは技術を導入するうえでの最初の一歩ですが、今後はさらに一歩踏み込んだ独自事例や新たな活用方法が増えてくると、展示会そのものがもっと盛り上がるのではないかと思います。


ノーコードや広告マーケ領域は依然として大盛況 —— ただ目新しさは少なめ

AI以外で注目を集めていたのは、やはりノーコード/ローコード系プラットフォームや広告・マーケティング関連のサービスです。大きなスペースを構えるブースや、定期的にセミナーやデモを行う企業も多く、会期中は終始人が絶えない人気ぶりでした。

しかし、これらの分野は既にある程度サービスが成熟していることから、今回も機能強化版や運用ノウハウのアピールが中心で、抜本的に新しいコンセプトや驚きのあるソリューションはあまり見られなかった印象です。もちろん“安定稼働”や“使いやすさ”を追求するフェーズに入ったという見方もできますが、今後はより差別化できるポイントが増えると、さらに注目が集まるかもしれません。


画像解析AIやドローン、ハードウェア系の存在感

画像解析AIを扱うブースも数多く出展しており、監視や広告向けのソリューションが特に目立っていました。実際にカメラ映像をその場で解析しているデモもあり、リアルタイム処理のクオリティが上がっている様子がわかりました。今後さらに性能が向上すれば、セキュリティ強化や接客サービス、工場の自動化など、さまざまな領域で活躍が期待できそうです。ただ現状では、技術デモとしての側面が強く、ビジネス活用の事例がまだ発展途上な印象を受けました。

一方、ドローンの出展数は思ったより少なく、日本国内の法規制や市場環境の影響もあるのか、実用化に向けたハードルがまだあるのではと感じさせられました。いくつか興味深いソリューションがあったものの、大々的に目立つブースは少なく、展示も控えめという印象でした。


日本のITを象徴する「営業・マーケ中心」の風潮

Japan IT Week全体としては、今回も営業/マーケ、DX推進をメインテーマとした企業が大きなブースを構え、来場者の注目を集めていました。人材不足や工数削減など、導入が決まりやすいビジネス課題を解決するソリューションをメインで訴求する企業が多いのは日本の市場事情を反映しています。

一方でFPGAや産業用ラズパイ、監視機器など、ハードウェアに強みをもつブースも見られましたが、どちらかというと技術デモ寄りで、市場との結びつきを強く打ち出せている例はまだ限られているようでした。魅力的な技術がたくさんあるだけに、業種・業態別の課題に応える形で提案ができると、さらに注目度が上がるのではないかと思います。


【私たちのブース振り返り】スリランカ企業SoftSora社との連携

今回のJapan IT Weekでは、私たちもビジネスパートナーであるスリランカのSoftSora社と共同出展しました。SoftSora社はJICAのスリランカブース枠の中に選抜されており、スリランカ企業としては8社ほど出展がある中でも特に注目を集める存在でした。というのも、CEOとCTOがそれぞれ25歳という若さにもかかわらず、弊社ピースフラットシステムと過去3年間で50以上のプロジェクトをこなしているほどの実績を持ち、スリランカ国内でも“特殊”と称されるほどのチャレンジ精神と技術力を備えているからです。

日本×スリランカの強力な連携体制

私たちの開発体制は、日本チームがPM(プロジェクトマネジメント)や要件定義、顧客折衝を担当し、実際の製造工程はスリランカのSoftSora社が担うという分担スタイルをとっています。今回の展示会でも、事前の打ち合わせから当日のブース運営まで「日本チームとの密な連携」を実現しており、ブースには日本人スタッフも常駐していたためか、来訪者の方々が安心して相談に乗りやすい雰囲気を作り出せたと思います。そのおかげもあって、ブースは連日盛況で、多くの方に私たちの事例に興味を持っていただけました。

多方面の事例と「若い力×タフなプロジェクトマネジメント」

展示では、業務系やDX関連のシステム・アプリ開発のほか、ドローン航路システムやAIエージェント開発、IoT、VR、ARなど、多岐にわたる事例を紹介しました。技術力という面では、出展しているどの企業も自信を持っていますが、私たちの場合は「数々のハードなプロジェクトから逃げずにこなしてきた」という経験や若いエネルギーにも注目していただけたようです。ITプロジェクトはトラブルやリスクがつきものですが、これまでも柔軟に乗り越えてきたプロジェクトマネジメントの実力や、スピード感のある開発体制を評価していただく機会にもなりました。

特に、私たちが開発を手がけたドローン航路システムは2025年3月25日のワールドビジネスサテライト(WBS)でも取り上げられ、国内外のメディアで注目を集めつつあります。こうした実績を通じて「ハードな課題こそ突破し、確かな成果を残す」スタイルを強みに、今後も新たなITの課題解決に挑戦していきたいと考えています。

👇️ ワールドビジネスサテライト(WBS)に取り上げられた話題の詳細はこちら

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新しい可能性を活かしきれていない惜しさ

Japan IT Weekを通じて感じたのは、まだまだ技術的に面白いアイデアやプロダクトが埋もれているということです。たとえば、エッジAIや産業用機器などは技術としては非常に興味深いのに、実際のユースケースやビジネスモデルがまだ十分に構築されていないブースも散見されました。
屋外でのバッテリー駆動や長時間稼働の課題など、実装面でクリアすべきハードルは多いですが、そういった制約を乗り越えた先には新しい市場や価値が生まれるはずです。ビジネス面での視点やパートナーシップをうまく取り込み、技術と社会を結びつける取り組みが増えていけば、日本のIT産業全体が大きく飛躍する可能性を秘めていると感じました。


ロボット制御とAIの融合は今後に期待

最後に、ロボット関連についても触れておきたいと思います。海外では産業用ロボットやサービスロボット、配達ロボットが徐々に普及し始めていますが、今回のJapan IT Weekではロボティクス分野の大規模な展示はあまり見られませんでした。今後、日本国内でも少子高齢化や労働力不足を背景にロボット活用が加速する可能性が大いにあります。
実際にはロボットの利用が拡大するほど、AIやデータ解析を使った制御や運用管理システムの重要性が増していくことが予想されます。そうした付加価値を提供できる企業や技術が登場すると、日本のIT展示会の様相も大きく変わっていくのではないでしょうか。


まとめ:日本の展示会に求められる「技術×ビジネス」の融合

今回のJapan IT Weekは、AIやDXを中心に技術とビジネスが交差する場ではありましたが、まだまだ「技術デモの段階」と「業務課題への直接的なアプローチ」をつなげる部分には、今後さらに発展の余地があるように感じました。展示会本来の魅力である、異なる業界や技術の出会いによって生まれるイノベーションをより一層促すには、産業特化の事例や他社との連携が必要不可欠です。

私たちはこれからも、「日本×スリランカ」の強力なパートナーシップのもとで培った開発力とマネジメント力を活かし、多様な課題解決に挑戦していきます。技術力はもちろんのこと、ハードなタフネスやスピード感も武器に、ドローン航路システムやAIエージェント開発などの先端分野を含め、日々進化するITニーズに応えていく所存です。今後の展示会でも、より多彩な事例やコラボレーションを通じて、日本のIT産業を盛り上げる一翼を担っていければと考えています。

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